書籍カテゴリー:分子医学

ゲノムと疾患

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The Frontiers in Medical Sciencesシリーズ
ゲノムと疾患

1版

  • 埼玉医科大学ゲノム医学研究センター所長 村松 正實 編

定価:5,720円(本体5,200円+税10%)

  • B5判 214頁
  • 2004年10月 発行
  • ISBN978-4-525-13051-0
  • ISBN4-525-13051-2

概要

医学部大学院生・卒後研修医などゲノム医学の初学者を対象に“疾患遺伝子の探索がどこまで進み,どのような変化を医学にもたらすのか”,基礎から臨床に至る研究の最前線を把握できるよう第一線の研究者により解説されたテキスト.本書を通してゲノム医学がもたらす医学の大きなパラダイムの転換を実感できる.ゲノム医学の基礎知識/ゲノム医学の主要概念/さまざまな疾患の遺伝子探索研究や診断・治療への応用がどのような基本的考えをもって進められているのか,その流れと展望をつかむのに最適の書.医学の未来を担う若い世代が医学の新しい潮流を学ぶために必携.

序文

医学は将に日進月歩の学問であり,患者に最善の診断,治療,さらには予防へのアドバイスを提供するためには,この進歩に遅れないことが基礎医学者のみならず臨床医家にも求められている.
医学は20世紀に入って生化学を取入れ,新しい科学としての進歩を開始した.そして同じ世紀のほぼ半ばに誕生した分子生物学はこれを急速に推し進め,生命の概念を変革するまでに至ったといえる.さらに最後の1/4世紀には,クローニング技術を基盤とした遺伝子工学が発達し,われわれヒトを含む生物の遺伝子とその働きに関する知識は,指数関数的に増加した.そして20世紀の終了時にはヒトゲノムのDNA配列概要が決まり,21世紀には今やポストゲノム時代といわれる.
プロテオーム,トランスクリプトーム,メタボロームからフェノームに至るまでオーム概念が喧しいが,そのすべてはゲノム(gene+-ome)に由来するのであり,ポストゲノムとは実はゲノム配列決定後を指しているに過ぎない.ゲノムの構造と機能の関係をさらに深く追究し,疾患との関係を知ることこそ,ポストゲノムの大きな課題なのである.
医学の方からこれをみれば,“ヒトゲノム計画”は多くの新しい疾患遺伝子を同定することにより,医学に新しい革命を起こしつつある.典型的な遺伝性疾患はもとより,誰にでも起こりうる“生活習慣病”の類にも,多くの遺伝子が関係していることがわかってきた.
今や遺伝子とゲノムの知識なくしては,現代医療は不可能な時代となったともいえるであろう.しかし,その重要な情報をわかりやすく伝える書物は未だ少ないのが現状である.これを打破するためには,遺伝子の機能を理解し,ゲノム情報を利用しておられる先端医療の先駆者にお願いして,各テクノロジーや各疾患と遺伝子・ゲノムとの関係を解説していただく以外にはないと考えた.幸いにも,斯界をリードされる先生がたにこれをご賛同いただき,この本が誕生した.題して『ゲノムと疾患』である.
本書が,最前線で基礎研究を進める研究者,最先端の医療に携わる医師のみならず,またこれらのテーマに興味をもつ臨床医や学生・大学院生などを対象としているが,新しい医学の,本質的な知識を提供できたならば編者の喜び,これに過ぎるものはない.終わりに臨み,ご多忙中にもかかわらず,ご執筆の労を賜わった先生方に深い感謝を捧げるとともに,本の完成に多大の努力をされた南山堂編集部スタッフに心から御礼を申し上げたい.

2004年8月 猛暑の秩父山景を眺めつつ 村松 正實

目次

第I部 総論: ゲノム解析の原理と医学への応用

第1章 序論:ヒトゲノム計画は何を医学にもたらしたか
―――ゲノム疾病論事始め―――  村松正實
   ゲノム時代の幕開け/ゲノムとは?/ヒトゲノム計画への経緯/ヒトを含む高等動
   物のゲノム構造/ゲノムからわかった遺伝子調節の諸相/ゲノムから見た遺伝子と
   疾患の関係/今後の展望

第2章 マイクロアレイ技術とバイオインフォマティクス 坊農秀雅 岡崎康司
第3章 ポジショナルクローニング法と候補遺伝子アプローチ 金森 睦 林崎良英
第4章 SNPの解析原理と医学研究への応用 村松正明
第5章 多因子疾患の診断および研究法 板倉光夫

第II部 各論:疾患におけるゲノム解析と分子病態
第1章 2型糖尿病  門脇 孝
第2章 高血圧  安東克之 藤田敏郎
第3章 高脂血症と動脈硬化症  荒井秀典
第4章 心不全と心筋症  木村彰方
第5章 自己免疫・アレルギー疾患  山本一彦 山田 亮
第6章 神経変性疾患:アルツハイマー病,パーキンソン病  森島真帆 井原康夫
第7章 ゲノムの不安定性と神経系疾患  垣塚 彰
第8章 ゲノム刷り込みと疾患  中野星児 押村光雄
第9章 骨粗鬆症とゲノム  井上 聡
第10章 癌のゲノム的背景  野田哲生
第11章 分子標的薬剤の有用性判定のための遺伝子研究  鶴尾 隆
第12章 感染症と感受性  中山英美 塩田達雄
第13章 ファーマコゲノミクス: 薬物トランスポーターの遺伝子多型と薬剤応答性  石川智久
第14章 ゲノム医学における倫理的課題:
     遺伝学的検査の意義と遺伝カウンセリングの重要性  福嶋義光

付録
第1章 ゲノムに関する数値  坊農秀雅 岡崎康司 村松正實
第2章 ゲノム医学研究のためのインターネットリソース  二階堂 愛 岡崎康司