書籍カテゴリー:内分泌・代謝学

肥満脱出大作戦

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肥満脱出大作戦

1版

  • 医学博士 板東 浩 著

定価:1,650円(本体1,500円+税10%)

  • 四六判 192頁
  • 2006年2月 発行
  • ISBN978-4-525-23141-5
  • ISBN4-525-23141-6

概要

「どうしたら痩せますか?」「食事は何を摂ったら痩せますか?」「どんな運動をしたら痩せますか?」 このような患者の問いに困惑しがちな医師必読の一冊.日常の中で「肥満」に対してどのようにアプローチしたらよいかを,「食事」「運動」「心理」の面からわかりやすく解説.もちろんメタボリックシンドロームなど最新のトピックスなども網羅.

序文

衝撃の映画!「スーパーサイズ・ミー」
みなさんは,衝撃の映画「スーパーサイズ・ミー」をご覧になりましたか?これは,肥満とデブに関わる映画で,2005年のアカデミー賞長篇ドキュメンタリー賞候補にもなった映画というもの.モーガン・スポーロックという若手の監督が,30日間,ファストフードばかりを食べ続けました.つまり,自分自身の身体を使って,「人体実験」をしたというわけです.
この研究には,医師3人と栄養士1人が加わり,血液検査の変化などが詳細に観察されました.もともとは体重が84キロで,全く健康で若い身体だったのです.しかし,急に太りはじめて,実験の途中では,3名の医師から,「命の危険が迫っているので,このような馬鹿な実験はやめなさい」,と指摘されることも.1ヵ月後には95キロまで増加し,身体にも心にも大きな影響がみられました.
本映画は,単に,食べ過ぎの実験だけを示したのではありません.肥満について,医学的,歴史的,教育的,社会的な視点からも深く掘り下げ,各専門家のインタビューも多く含んでいます.米国では3人に2人が肥満か太り過ぎとされており,米疾病対策センターの調べでは,約40年間で,成人男女の平均体重が約10キロも増加しているのです.
一方,日本でも「肥満化」への道が次第に明らかになり,国民栄養調査の報告によると,約20年で成人男性の肥満者は約50%増えています.

社会的にデブが容認?
教育的な見地から肥満をみると,学校給食にファストフードや清涼飲料水が進出し,経済的な利潤や教育予算の削減から,改善はそれほど容易ではありません.子供達は小さな頃から,ファストフード店で食べ,遊戯場で遊び,プレゼントをもらい,誕生会を経験します.これらを通じて,知らず知らずのうちに,食べるという行動と楽しさが一緒になって,幼い真っ白な心に刷り込まれてしまうのです.これは,動物を調教するのと同じ手法であり,一生涯消えることはないでしょう.
社会心理的な側面から,米国では肥満を容認する,というよりも,容認せざるを得ない文化や価値観が現れてきています.従来デブには,自己管理ができず恥ずかしいという価値観がありましたが,いまでは,デブ(fat)という言葉を,「粋でかっこいい男性(phat)」と置き換えています.なお,phatとは,pretty hot and tempting(魅力的な)ということです.

「世界の中心で愛を叫ぶ」→「病気の中心で肥満が叫ぶ」
「世界の中心で愛を叫ぶ」御存じですか?映画やテレビドラマ,原作本など注目されましたね.今の日本では,このような内容や韓流などをはじめ,純愛ものによって,古き良き時代を思い返すことによって,心が癒される時期といえるでしょう.これと同じで,「生活習慣病の中心で,肥満が叫んでいる」のです.
多くの人では,肥満,糖尿病,高脂血症,高血圧,動脈硬化,脂肪肝などがあわさっている場合がよくみられます.これらの特徴は,1人に,複数の病気が存在しているのです.
特に,糖尿病,高脂血症,高血圧が,動脈硬化のリスクファクターとして知られており,これらが,一人に集まる状態を,「マルチプル・リスク・ファクター症候群」(multiple risk factor syndrome)と呼ばれます.すなわち,マルチプル・リスク・ファクターの中心にあるのが「肥満」といえるのです.つまり,本症候群は,あの悪名高い「マルチ商法」のように,非常に危険なものと言えます.やはり,肥満は諸悪の根源なのです.

本書の特徴
肥満については,様々な医学書や一般書などで解説がなされており,このような書籍は本屋にいけば,多くみつかります.
一方,本書は教科書ではなく,巷に溢れる○○式ダイエット法などを紹介する本でもありません.肥満に関する大切なポイントをわかりやすく伝えるために,誌面では主人公の中年サラリーマン太井腹駄(ふといはらだ)さんが登場し,日常生活の模様を示します.続いて,その生活に関する解説を展開していきます.このパターンにより,肥満のポイントがみなさまの心に,わかりやすく,印象的に響くと思います.その際に,読んだ内容が心の中に溜まってほしいと考え見出しに五・七・五のリズムをつけて,「川柳」のスタイルにしてみました.日常の食事や運動に触れることにより,中年男性のサラリーマンや主婦,一般読者,コメディカルなどが,肥満の基本的で実際に役立つ内容を理解していただきたいと思っています.また,医師に対しても,臨床の現場で肥満の患者にアドバイスをしたり,質問を受けたりする場面での一助になることを期待しており,本書の中には最近の専門的な内容も含めてあります.
本書の構成は,大きく五つに分かれています.
1章 肥満とは
2章 なぜ肥満が悪いのか
3章 マイナスカロリーを稼ぐ食事法
・ダイエットは女の専売特許ではない
・四十代の男性サラリーマンに必要だ
4章 効果的にカロリー消費する運動法
・どのように工夫して,体を動かすか
・仕事場でも,十分に効果があがる
5章 心に潜む肥満の種を解明
・あなたの心には何が隠れているか?
・ストレスを解消し,身も心もスマートに
以上の内容に触れることによって,読者が各自で様々に感じて考えてほしいと思います.できれば,生活の中で可能な工夫がなされ,それが継続されることで,職場や家庭でより健康により充実した人生になることを祈り,期待しております.

2006年1月 トレーニングを続けながら  板東 浩


目次

はじめに

1章 肥満とは
 1.定義
 2.測定法
 3.肥満の種類
 4.脂肪細胞の特徴
 5.肥満の原因
 6.現代に肥満が増えている原因

2章 なぜ肥満が悪いのか
 1.合併症
 2.心身症
 3.メタボリックシンドローム
 4.レプチン
 5.肥満を予防するには

3章 食事
 1.過食の現代
 2.朝食
 3.昼食
 4.おやつ
 5.夕食
 6.健康(ダイエット)食品
 7.アルコール
 8.ドリンク
 9.卵
 10.油が多い食物
 11.痩せる食事

4章 運動
 1.運動不足の現代
 2.運動に必要な時間
 3.基礎代謝
 4.有酸素運動
 5.水分摂取
 6.体力の種類
 7.ジョギング
 8.ウォーキング
 9.ウォーキングで心も悟る
 10.自転車こぎ
 11.フィットネスクラブ

5章 心理
 1.母親からの影響
 2.満腹中枢・空腹中枢
 3.ずれ
 4.身体から脳への情報伝達(くせ)
 5.精神的な「ゆがみ」
 6.てこずり型
 7.食欲の調整 意識 無意識
 8.セットポイント
 9.マズローの欲求階層説

おわりに