書籍カテゴリー:神経学/脳神経外科学|総合診療医学/プライマリ・ケア医学

脳卒中の再発を防ぐ!知っておきたいQ&A76
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脳卒中の再発を防ぐ!知っておきたいQ&A76

1版

  • 熊本市立熊本市民病院神経内科 橋本 洋一郎 編著
  • 国立病院機構九州医療センター脳血管センター・脳血管内科 岡田 靖 編著
  • 国立病院機構九州医療センター脳血管センター・脳血管内科 矢坂 正弘 編著
  • 国立循環器病センター脳神経外科 宮本 享 編著

定価:3,850円(本体3,500円+税10%)

  • B5判 227頁
  • 2009年3月 発行
  • ISBN978-4-525-24651-8

概要

脳卒中地域連携の中で,かかりつけ医が「再発予防」に果たす役割は大きい.
一次予防とは異なる再発予防の診療ポイントや慢性期脳卒中患者に特有の問題(使用薬剤や合併症の管理)を,具体的なQ&Aで簡潔に分かりやすく解説した.脳卒中をきたした患者の診療における疑問を一掃してくれる書籍である.

序文

研修2年目の1982年に脳梗塞を急性期心筋梗塞のように治療したいという思いで脳卒中を専門とする神経内科医 (stroke neurologist)を目指すことにしました.そこで1984年から1987年の3年間,脳卒中を循環器病として治療する国立循環器病センターで研修をし,その後は脳卒中急性期診療の人生となりました.急性期医療のまっただ中にいると,その限界を強く感じ,脳卒中の治療は予防につきると実感しています.本書の編集者4名は四半世紀前に国立循環器病センターにおいて一緒に働いた仲間です.その後,「脳卒中診療の向上」というmissionを持ち続け,今回,一堂に会して脳卒中の再発予防についての書籍を企画しました.
脳卒中は,リハの観点から急性期,回復期,維持期に分けられます.そのような中で脳卒中診療は,・かかりつけ医 (普段の健康管理,再発予防) ,・急性期病院,・リハ専門病院 (回復期リハ) ,・ 療養型病院・施設 (維持期のリハ・ケア) の4チームが連携して,得意な分野で良質な医療・介護を提供することが求められています.2000年に回復期リハ病棟が認可され,また同時に介護保険が導入され,回復期と維持期の診療システムが明確になりました.2005年10月に発症3時間以内の脳梗塞に対するrt-PA (アルテプラーゼ) 静注療法が認可されて,わが国も本格的な「Brain Attack」の時代に突入しました.さらに2006年に脳卒中ケアユニット,2008年にはrt-PA加算が認可され,急性期診療システム構築が加速し始めました.また2008年に脳卒中地域連携パスが保険診療として認められ,診療システム構築も新たな段階になりました.
脳卒中急性期診療のポイントは,・CT・MRIの24時間稼働,・rt-PA静注療法 (発症3時間以内の血栓溶解療法) ,・臨床病型に応じた内科的治療,・入院当日から再発予防の開始,・早期離床・早期リハ,・感染対策,・栄養管理,・血管内治療,・外科的治療,・stroke unitです.急性期医療は,一見華々しいところがありますが,概ね2〜3週間です.脳卒中診療では,その後の地道な再発予防とリハが重要です.したがって脳卒中診療ネットワークの中で,地域全体で脳卒中の再発予防とリハを継続しなければなりません.急性期病院において,急性期治療を行いつつ発症当日より再発予防も行い,早期にかかりつけ医やリハ専門病院へのバトンタッチとなります.脳卒中地域連携パスでは,「治療の継続」とともに「リハの継続」の2つが柱になります.
現在は,脳卒中治療には多くのエビデンスがあり,またそれに対するガイドラインも出てきました.大変有用ですが,臨床の現場ではガイドラインのみでは診療ができません.本書は,脳卒中発症後の再発予防に焦点を当て,痒いところに手が届くような内容になっていると自負しています.日常診療の最前線で働かれているかかりつけ医の先生に是非,読んで頂きたい内容です.1つのclinical questionに対する回答(Q&A)という形になっており,またそれぞれの項目が独立しており,知りたい箇所のみを読むことも可能です.
是非,かかりつけ医の先生が再発予防の主役となり,脳卒中専門医をサポートして頂きたいと思っています.もちろん脳卒中専門医,あるいは脳卒中診療に携わるコメディカルの方々にも広く活用して頂くことを願っています.


2009年3月 編者を代表して  橋本洋一郎



目次

総 論  脳卒中の再発予防
  Q 再発予防の重要性とかかりつけ医の役割とは?

第I章  脳卒中の病型別の再発予防
 ■1.ラクナ梗塞
  Q 1 ラクナ梗塞患者の再発予防はどのように行いますか?
 ■2.アテローム血栓性脳梗塞(薬物治療,外科的治療,脳血管内治療)
  Q 2  再発予防のための抗血栓療法はどのように行いますか?
  Q 3  再発予防のための頸動脈血栓内膜剥離術の適応はどのようなものですか?
  Q 4  再発予防のためのステント治療の適応はどのようなものですか?
  Q 5  再発予防のためのバイパス術の適応はどのようなものですか?
 ■3.心原性脳塞栓症
  Q 6  心原性脳塞栓症患者の再発予防はどのように行いますか?
  Q 7  心原性脳塞栓症患者で心臓手術が必要な場合はありますか?
 ■4.奇異性脳塞栓症
  Q 8  奇異性脳塞栓症の診断はどのように行いますか?
  Q 9  奇異性脳塞栓症患者の再発予防はどのように行いますか?
 ■5.大動脈原性脳塞栓症
  Q10  大動脈原性脳塞栓症患者の再発予防はどのように行いますか?
 ■6.原因不明の脳梗塞
  Q11  原因不明の脳梗塞患者の再発予防はどのようにすればよいですか?
  Q12  担癌患者の脳梗塞の再発予防はどのようにすればよいですか?
 ■7.脳出血
  Q13  高血圧性脳出血をきたした患者の再発予防はどのように行いますか?
  Q14   高血圧のない脳出血患者の再発予防はどのように行いますか?
 ■8.クモ膜下出血(外科的治療,脳血管内治療)
  Q15  脳動脈瘤クリッピング術を行った患者の再発予防はどのように行いますか?
  Q16  脳動脈瘤コイル塞栓術を行った患者の再発予防はどのように行いますか?
 ■9.もやもや病
  Q17  脳梗塞をきたした,もやもや病患者の再発予防はどのように行いますか?
  Q18  脳出血をきたした,もやもや病患者の再発予防はどのように行いますか?
  Q19  脳梗塞と脳出血をともにきたした,もやもや病患者の再発予防はどのように行いますか?
 ■10.一過性脳虚血発作
  Q20  一過性脳虚血発作をきたした患者の治療はどのように行いますか?
  Q21  眼虚血症候群をきたした患者の治療はどのように行いますか?

第II章  リスク管理
 ■1.高血圧患者の日常診療
  Q22  脳梗塞をきたした患者の血圧はどのレベルまで下げたらよいですか?
  Q23  脳梗塞患者への降圧薬の選択はどうしたらよいですか?
 ■2.糖尿病患者の日常診療
  Q24  糖尿病治療はどのように行いますか?
  Q25  糖尿病患者への降圧薬の選択はどのようにしたらよいですか?
  Q26  糖尿病に合併する脂質異常症の治療はどのように行いますか?
 ■3.不整脈(心房細動)患者の日常診療
  Q27  非弁膜症性心房細動(NVAF)を持った脳梗塞患者の再発予防はどのように行いますか?
  Q28  心房粗動を合併した脳梗塞の再発予防はどのように行いますか?
  Q29  発作性心房細動を合併した脳梗塞の再発予防はどのように行いますか?
  Q30  心房細動の新規発症を予防することができますか?
  Q31  ペースメーカーを装着した脳梗塞患者の再発予防はどのように行いますか?
 ■4.脂質異常症患者の日常診療
  Q32  脂質異常症を合併した脳梗塞患者の再発予防はどのように行いますか?
  Q33  脂質異常症を合併した脳出血患者の再発予防はどのように行いますか?
 ■5.喫煙患者の日常診療
  Q34  禁煙のための動機づけはどうしたらよいですか?
  Q35  禁煙補助薬はどのように使ったらよいですか?
 ■6.肥満患者の日常診療
  Q36  メタボリックシンドローム患者の脳卒中再発予防はどのように行いますか?
  Q37  肥満患者の脳卒中再発予防はどのように行いますか?
 ■7.その他のリスクとなるもの
  Q38  脳卒中をきたした患者の慢性腎臓病(CKD)の治療はどのように行いますか?
  Q39  脳卒中をきたした患者での飲酒はどうしたらよいですか?
  Q40  脳卒中をきたした患者での運動不足はどうしたらよいですか?
  Q41  脳卒中をきたした睡眠時無呼吸症候群の治療はどのように行いますか?
  Q42  脳卒中をきたした患者の虚血性心疾患の治療はどのように行いますか?

第III章  抗血栓療法(抗凝固療法,抗血小板療法)
 ■1.抗血栓薬の適応と使い方
  Q43  脳梗塞再発予防を目的とした抗血栓薬の基本的な使い方を教えてください.
  Q44  妊娠や出産時における抗凝固療法の管理方法を教えてください.
  Q45  ワルファリンの導入方法を教えてください.ワルファリンを飲んでもINRが上昇しない患者への対応は?
  Q46  心原性脳塞栓症急性期の抗凝固療法はどのように行いますか?
  Q47  脳静脈血栓症の診断,抗血栓薬の使い方を教えてください.
  Q48  動脈解離症例への抗血栓療法はどうしますか?
 ■2.迷う場面
  Q49  抜歯,白内障手術,大手術時に抗凝固薬はどうすればよいですか?中止ですか?継続ですか?
  Q50  観血的医学的処置時の抗血小板薬の休薬期間を教えてください.
  Q51  内視鏡下での生検や手術が必要になった場合の抗血栓薬の管理方法を教えてください.
  Q52  無症候性頸動脈狭窄への抗血栓療法は必要ですか?
  Q53  脳梗塞症例に卵円孔開存(PFO)が見つかりました.抗血栓薬は必要ですか?必要ならその種類と量は?
  Q54  抗凝固薬を抗血小板薬で代替できますか?または,抗血小板薬を抗凝固薬で代替できますか?
  Q55  心内血栓が見つかりました.抗凝固療法,線溶療法,手術,どれが適切ですか?
  Q56  脳出血の既往がある患者に抗血栓療法を行ってよいですか?
  Q57  無症候性(ラクナ)脳梗塞に抗血栓療法は必要ですか?
  Q58  抗血栓薬の併用で予防効果は上がりますか?
 ■3.合併症
  Q59  抗血栓薬服用中の出血性合併症はどの程度起こりますか?
  Q60  抗血栓薬服用中の出血性合併症への対処法を教えてください.
  Q61  抗血栓療法中の頭蓋内出血を予防するにはどうしたらよいですか?

第IV章  日常診療での「困ったな!どうしよう?!」
 ■1.専門医との連携
  Q62  たまたまエコーでプラークを見つけました.どのような対処をすればよいですか?
  Q63  たまたまMRAで中大脳動脈の狭窄性病変を見つけました.どのような対処をすればよいですか?
  Q64  たまたま未破裂動脈瘤を見つけました.どのような対処をすればよいですか?
 ■2.患者指導
  Q65  コンプライアンスの悪い患者の服薬指導はどのようにしたらよいですか?
  Q66  ワルファリンの服薬指導はどのようにしたらよいですか?
  Q67  栄養指導はどのようにしたらよいですか?
  Q68  運動指導(自宅でできるリハビリなど)はどのようにしたらよいですか?
 ■3.再発時の対処法
  Q69  再発を疑うポイントはどのようなものがありますか?
  Q70  再発したときはどのように対処すればよいですか?
 ■4.特殊な場面のPitfall
  Q71  嚥下障害,誤嚥性肺炎の対処はどのようにすればよいですか?
  Q72  患者がうつの場合はどのように対処すればよいですか?
 ■5.専門医の受診と再診のタイミング
  Q73  昨日から右の手足が少しおかしいと訴えて患者が受診しました.よく分かりませんが,専門医に受診させるべきでしょうか?
  Q74  心房細動のある患者の妻から,「今,急にしゃべらなくなって横たわっている」と電話がかかってきました.専門医にいつ受診させるべきでしょうか?
  Q75  頸動脈エコーを行うと狭窄らしいものが見つかりました.どのくらいの大きさで専門医の受診でしょうか?
  Q76  抗血栓薬を投与された脳梗塞患者が逆紹介されてきました.次回はいつ受診でしょうか?

付 録
 ■ 付録1:薬剤の特徴と併用
  1.降圧薬
  2.スタチン
  3.抗血小板薬
  4.糖尿病治療薬
 ■ 付録2:脳卒中地域連携クリティカルパス
  Q 脳卒中地域連携クリティカルパス(治療の継続性とリハの継続性)とは?
 ■ 付録3:病型診断
  Q 脳梗塞の病型診断はどのようにしたらよいですか?
 ■ 索 引