書籍カテゴリー:東洋医学|臨床薬学

ファーストチョイスの漢方薬
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ファーストチョイスの漢方薬

1版

  • 東京女子医科大学附属東洋医学研究所講師 稲木 一元 著
  • 北里研究所東洋医学総合研究所顧問 松田 邦夫 著

定価:5,500円(本体5,000円+税10%)

  • B5判 347頁
  • 2006年7月 発行
  • ISBN978-4-525-47451-5
  • ISBN4-525-47451-3

概要

現在,医師の約7割が医療の現場で漢方製剤を治療に使い,また,医学生には漢方薬についての一定の知識修得が必須となり,80の大学医学部・医科大学全てにおいて漢方医学の講義が行われている.
本書は,漢方治療の有益な領域・疾患を優先し,処方選択の実際的指針のため使用頻度の高い処方が分かるように解説.また基本処方は,典型例を通じて実際的使用法を修得できるように工夫した.

序文

医学は日夜進歩を続けている.それでもなお病気に苦しむ人は少なくない.より多くの人々の苦痛を和らげるためには,洋の東西を問わず,総力を挙げなければならない.伝統医学を有する多くの国々では,伝統医学の医師の資格と西洋医学の医師の資格とは別個のものとされ,同時に取得することができない.しかしながら,唯一わが国のみ,一人の医師が東西両医学を実践することが許されている.これは世界に誇り得る制度であり,国民医療のために慶賀すべきことである.
近年,多くの医師が漢方薬を使用し,その優れて実用的な効果を認めている.惜しむらくは,少なからぬ人が伝統医学独特の複雑な治療概念に困惑していることである.そこで,われわれは,漢方の実地臨床に携わってきた者として,臨床に有益な漢方診療の知識を伝えることを目指し,あえて本書を上梓した.
執筆に当たっては努めて以下の点に配慮した.
・実地医家にとって有用なテキストとなること
・取り上げるテーマは,漢方治療の有益な領域および疾患を優先すること
・伝統的漢方医学の考え方については,臨床に有用と思われる形で解説すること
・処方選択の実際的指針となるよう,使用頻度の高い処方がわかること
・基本処方は,典型例を通じて実際的使用法を修得できるようにすること
現代では,漢方薬についての一定の知識修得が医学生に必須となり,ほとんどの医科大学で漢方医学の講義が行われている.漢方薬の基礎的臨床的研究も,めざましい発展を遂げつつある.漢方専門医を標榜することも可能となった.こうした状況では,臨床的に有用な漢方の知識を身につけることは医療に携わるものとして必須と言ってもよいであろう.本書が実地医家の臨床に役立つことを,筆者らは何より願っている.諸賢のご叱正をお願いしたい.
なお,本書は先に刊行された筆者らの『漢方治療のファーストステップ』と対をなすものである.ご参照いただければ幸いである.
本書の執筆にあたっては,編集部 宮本正則氏に負うところが大きい.この場を借りて深く感謝する.

2006年3月吉日   著者 稲 木 一 元   松 田 邦 夫


目次

漢方薬を使うために必要な基礎知識
1.漢方薬の効きやすい疾患や症候

2.疾患・症候ごとの頻用漢方薬

3.頻用漢方薬の特徴と基本的使用法
 ■主として呼吸器領域で用いる漢方薬
 ■主として消化器領域で用いる漢方薬
 ■いわゆる虚弱者に頻用される漢方薬
 ■その他の使いやすい漢方薬

4.伝統的な漢方医学(基本的な知識)
 ■陰陽という考え方とその臨床的意味
 ■虚実という考え方とその臨床的意味
 ■気血水も参考になることがある
 ■その他の漢方的な経験則

5.医療用漢方製剤(エキス剤)の効果的使用法
 ■湯に溶かして服用
 ■頓服で即効の期待できることがある
 ■胃腸虚弱者では,食後服用が有用な場合もある
 ■感冒薬は必ず熱くして服用し,体の保温に注意
 ■高齢者,虚弱者では,服用量を減らすと効果的な場合がある
 ■生姜汁を加えるとよい場合がある
 ■ときに冷服が必要
 ■のみにくい薬はどうする?

6.併用についての考え方
 ■複数の漢方薬の併用
 ■複数の漢方薬を併用する際の基本的ルール
 ■西洋医薬との併用

7.漢方薬を安全に用いるための知識
 ■比較的よく使う漢方薬とそれによって起こりやすい副作用
 ■まれではあるが重大な副作用

8.漢方の研究法
 ■漢方を学ぶには指導者が重要
 ■漢方治療の精神
 ■漢方の診察
 ■漢方治療におけるポイント
 ■薬理・EBM・臨床経験の批判的受容
 ■自己研鑽のすすめ
 ■参考書籍など


漢方薬の適応となる疾患・症候と頻用処方
1.呼吸器疾患
 1-0 総 論
 1-1 急性上気道炎
 1-2 気管支炎
 1-3 気管支喘息
 1-4 風邪を繰り返す・風邪をひきやすい
 1-5 慢性気管支炎・気管支拡張症・肺気腫・非定型抗酸菌症など

2.消化器疾患
 2-0 総 論
 2-1 慢性胃炎・NUD・逆流性食道炎
 2-2 過敏性腸症候群・慢性下痢
 2-3 便秘症
 2-4 痔疾・脱肛
 2-5 慢性肝炎・肝硬変
 2-6 術後腸管通過障害
 2-7 潰瘍性大腸炎
 2-8 慢性膵炎
 2-9 アフタ性口内炎・舌炎

3.循環器疾患
 3-0 総 論
 3-1 高血圧症
 3-2 本態性低血圧症
 3-3 慢性脳循環障害

4.泌尿器疾患
 4-0 総 論
 4-1 再発性膀胱炎
 4-2 前立腺肥大症
 4-3 尿路結石症
 4-4 尿路不定愁訴
 4-5 その他の泌尿器疾患(排尿障害・性機能障害・男性不妊
など)

5.精神・神経疾患
 5-0 総 論
 5-1 神経症性障害
 5-2 不眠症
 5-3 常習頭痛
 5-4 その他の精神神経疾患
   (三叉神経痛・帯状疱疹後神経痛・肋間神経痛・パーキンソン病・ナルコレプシー)

6.運動器疾患
 6-0 総 論
 6-1 関節リウマチ
 6-2 腰痛症・坐骨神経痛
 6-3 変形性膝関節症
 6-4 頸肩腕症候群・肩こり

7.婦人の疾患
 7-0 総 論
 7-1 月経の障害(月経痛・月経不順・過多月経
など)
 7-2 更年期障害
 7-3 冷え症

8.高齢者の疾患

9.小児の疾患
 9-0 総 論
 9-1 小児の呼吸器疾患
 9-2 小児の鼻炎・扁桃炎など
 9-3 小児の消化器疾患
 9-4 小児の起立性調節障害(OD)
 9-5 小児の夜尿症
 9-6 小児の夜驚症・夜啼症
 9-7 小児のアトピー性皮膚炎
 9-8 小児の周期性嘔吐症
 9-9 虚弱児

10.耳鼻咽喉疾患
 10-0 総 論
 10-1 花粉症・アレルギー性鼻炎
 10-2 慢性鼻炎・副鼻腔炎
 10-3 扁桃炎(慢性再発性など)
 10-4 めまい(良性発作性頭位性眩暈,メニエール病)
 10-5 中耳炎

11.皮膚疾患
 11-0 総 論
 11-1 湿疹・アトピー性皮膚炎
 11-2 蕁麻疹
 11-3 尋常性k瘡(にきび)

12.心身症
 12-1 ストレス性胃炎
 12-2 過敏性腸症候群
 12-3 口内炎
 12-4 気管支喘息
 12-5 咽喉頭異常感症(ヒステリー球)
 12-6 緊張型頭痛・肩こり
 12-7 心因性頻尿
 12-8 性機能障害

13.全身症候
 13-1 疲労倦怠・慢性疲労
 13-2 盗汗・寝汗
 13-3 のぼせ
 13-4 手術後の愁訴

14.漢方薬を補助的に用いることの多い領域
 14-1 糖尿病
 14-2 肥満症
 14-3 高脂血症
 14-4 甲状腺疾患(バセドウ病・橋本病・甲状腺機能低下症)
 14-5 血液疾患(鉄欠乏性貧血・再生不良性貧血・特発性血小板減少性紫斑病)
 14-6 腎疾患(慢性腎炎・ネフローゼ症候群・慢性腎不全)
 14-7 悪性腫瘍

15.治療に難渋したとき
 (1)虚実を間違えていないかを考える
 (2)陰陽を間違えていないか
 (3)難治性の慢性疾患では,消化機能改善をはかり,食欲が出るように薬を選択する
 (“まず脾を補うに如かず”).すなわち,補剤,温補剤を用いることが多い
 (4)慢性症で,症状や病態が多様で,西洋医学的には一元的に把握しにくい場合には
  気血水の考え方を参考にする
 (5)臨床的には,どのような疾患であっても治療に難渋した際には,以下のような
  処方を考える
 (6)疾患そのものは難治の場合でも,患者さんのQOLを高めるような漢方薬を選択
  するとよい

◆医療用漢方製剤の一覧