書籍カテゴリー:東洋医学

東西医学よりみた金匱要略

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東西医学よりみた金匱要略

1版

  • 曽野 維喜 著

定価:11,000円(本体10,000円+税10%)

  • B5判 573頁
  • 2005年5月 発行
  • ISBN978-4-525-47461-4
  • ISBN4-525-47461-0

概要

「東西医学よりみた傷寒論」の姉妹書.
「傷寒論」と「金匱要略」は,本来「傷寒雑病論」として1冊であったものが分割され今日に至ったものである.
「金匱要略」には糖尿病,肥満症をはじめ生活習慣に基づいた疾患,婦人科疾患など「傷寒論」にはない多くの疾患が記載されている.本書は今日の診療にも十分適用できる内容を含有しているこの「金匱要略」を,西洋医学を学んできた医師,医学生にも理解しやすいように西洋医学の知識とことばで分かりやすく解説してある.
また,各項目ごとに,東洋医学的テーマ,西洋医学的テーマを掲げ,原文と和訓を対比させるなど「東西医学よりみた傷寒論」と同様親しみやすい構成となっている.

序文

医は芸であり,医術は芸術である.人間の心を癒し,心身ともに健康にさせることを探求する学術でもある.医術は,美術や音楽などと同様,磨けば磨くほど光沢を発し,研鑚すればするほど裾が広がり,そして奥の深いものである.その目的は,人間の最も基本とする健康を保つ学問である.このような医の芸術を自然の法則に従って築きあげた最高の芸術書とも言える金匱要略と傷寒論は,現在もなお世の中に燦然と輝いている.この約二千年も前の芸術の傑作を,現代の科学の肉付けを加えたものが本書である.すなわち,すべての項目に東西医学の目で鋭く見つめ,分析し解明したところが,本書の最も苦心した一大特徴である.あるいは問う;なぜ約二千年も昔の医学書が現代でも通用するのであろうか? 答え;それは自然の法則に従って出来上がった医学書であり,自然の原型が存在する限り,永遠に続くものである.
昨今,人々に恐怖を与え,世界的に蔓延する気配を見せているエイズをはじめ,鳥インフルエンザや狂牛病などは,人類と永続的に闘っている病原微生物であり,現代の科学をもっても征服することは不可能である.このような病原体による病変は,主として傷寒論の対応する世界であり,その他のすべての病因による病変を対象とするのが本書の金匱要略の世界である.それは形を捉えられるか否かを問わず,人間に悩みをもたらす全ての病変を網羅した総合医学書であり,心身を統合した極めて有用な臨床医学の実践書でもある.
現在,地球上の多くの生物種が絶滅している.この傾向は今後も続くであろう,人類のみが免れるのであろうか,その根源は自然を破壊する科学にある.このような科学は進歩するほど人類の滅亡を速めることになろう.今,人類がすべきことは,科学を自然回帰の方向に転換させることである.同様に今,医学に求められることは,自然回帰の医科学であり,それは人間がすべての生物種と共存できる強さを科学することである.
古くから,医は政に通じる,人間の病気を治療することは,国のさまざまな問題を治めることに例えられている.とくに慢性で難渋する病気の治療は,広い視野を用い,長期の展望に立って,最も望まれている治療を構築せねばならない.これは即ち今日で言うEBMに基づく治療でもある.日常診療でつくづく思う,日々出会う難病痼疾は,未知の応用問題を投げかけられているようなものである.これをどのような角度で考え,どのように発想を転換すればよいのか,このような場合にも本書は,絡んだ結びの糸をとくようにヒントを与えてくれる臨床の実践書である.
本書は予防医学の一面を持ち,また未病治療学の一面も具えている.予防医学に関して,人々は頭では理解しているが,どの年齢層から,どういう場合に,どのように,どう言うことから始めるか,どう言う薬物をどのように用いるのか,このようなさまざまな問いを解決してくれる知恵を豊富に蘊畜し応用することができる.本書は現代の医学で最も欠乏している個体の防御する一面を補い,常に強化させて治療する方法を提供してくれる.たとえば,最も強烈な攻撃療法である抗癌剤は,個体の抵抗力,免疫力を極端に低下させ,致命的になることがしばしば見られる.このような場合に,強壮療法に優れている漢方療法の参入は甚だ有用であり,これも本書から多くの示唆が得られる.このことは予防と治療を連携させ,個体に最も理想とする医療を提供することができる.これによって,初めて医療に対して信頼ができ,安心して受診することができる.これは理想ではなく,現実問題であり即座に実践せねばならない切実な問題である.この現実問題を推進するには,世の東西を問わず,人間に有益であり,自然破壊につながらない,全ての叡智を駆使すべきである.とくに医学では,最も良い道標となり指南書となるものが傷寒論であり,金匱要略であると確信する.
本書も傷寒論などに続き,本院での勉強会に用いられた教材である.内容によっては,幾分こじつけ的な理論や意を尽くせなく,多くの無理が存在していると思われる.本書について賛同してくださる益友および批判してくださる良師が共に多く現れることを切に期待する.
執筆にあたって,多くの書物や論文を参考にさせていただいた著者の方々に,心から感謝の意を申し上げる.また出版に際し,一方ならぬご理解とご尽力をいただいた南山堂社長鈴木肇氏,鈴木幹太氏,八木洋氏に厚くお礼申し上げる.

この偉大な医の芸術書を残してくださった古人に最大の感謝の意を寄せて 2005年1月元旦 曽野維喜

目次

本書の内容はいわゆる外字が多いため、目次をPDFのデータでご用意しております。
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