書籍カテゴリー:臨床薬学|救急医学/災害医学

災害薬学
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災害薬学

1版

  • 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 救急薬学講座 教授 名倉弘哲 編
  • 高知大学附属病院救急部 特任准教授 山内英雄 編

定価:3,850円(本体3,500円+税10%)

  • B5判 232頁
  • 2019年3月 発行
  • ISBN978-4-525-77761-6

概要

薬剤師として,災害に備える

災害時における薬剤師のニーズが,近年高まっている.被災地で,薬剤師は何ができるか,限られた患者情報や医療資源の中,薬をどう使うのか,災害時の医薬品供給や法律・制度等,本書では災害時の薬剤師業務についての基礎知識から災害時における薬物治療の考え方までをまとめた.「いざ」というときに備え,薬剤師として読んでおきたい一冊.

序文

近年多発する大規模災害における医療支援のなかでも薬剤師の活動が被災者にとって大きな影響を及ぼすことは,現場を見てきた者として痛感するところであります.従来の災害現場では,医師,看護師,救命士,警察,消防,自衛隊の活躍で被災地はなんとかなるといった概念がありました.しかし,東日本大震災以降,大規模災害発災時の被災地での医薬品需要とともに薬剤師の災害対応にも期待が膨らんできました.また,近年の薬学教育制度の変革期において薬学教育モデル・コアカリキュラムのなかにも災害時の対応などを教育するミッションが加わったことから,全国の薬学部では学部教育に災害対応経験のある実務薬剤師に頼る場面も増え,学問としての入門書が求められるようになりました.
これまでに被災地で医療支援に参画した薬剤師のなかには,非日常における薬剤師としての活動には程遠い災害時の対応に課題・難題を持ち帰った方が多くいます.次に来たる大規模災害に向けた教訓やさらにできたであろう支援について,本書では災害時に活躍した薬剤師,医師の協力を得て,その問題解決への方向性や指針を解説しました.
本書の学習目標は,以下の通りです.

・災害時には平時にできること,行うべきことができなくなる実態を理解できる.
・薬剤師としての支援を行う上でもチーム医療を認識できる.
・災害時に活動する医療者の一員として,災害医療の共通認識ができる.
・災害時に使われる共通言語を理解できる.
・被災者に寄り添いながら災害支援に関わることができる.

災害時に薬剤師が活動する際には,医師・看護師をはじめとした多職種による連携が必須であり,基本的な災害医療の知識や法律に関する知見と判断が必要となります.

災害医療センター臨床研究部長 小井土雄一 先生
東京医科歯科大学教授 大友 康裕 先生
鳥取大学医学部教授 本間 正人 先生
厚生労働省DMAT事務局長 近藤 久禎 先生
東京都薬剤師会副会長 永田 泰造 先生
東邦大学医療センター大森病院薬剤部長 西澤 健司 先生

上記の先生方にはこれまでの災害薬事教育に対して多大なるご指南,ご協力を賜りましたことに敬意を表します.

日頃の備えとともに今後来るであろう大規模災害に対応すべく,本書が被災者の健康維持のための薬剤師の基礎知識として活用されることを願っています.
 
2019年 春
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科救急薬学分野 教授
名倉弘哲

高知大学医学部附属病院病院救急部 特任准教授
山内英雄

目次

第1章 災害と薬剤師に関する基礎知識

1.災害薬学とは(名倉弘哲)
2.災害に関する基礎知識(山内英雄)
 A.災害の定義
 B.災害の種類
 C.災害の種類に応じた疾病構造
 D.災害の時系列別サイクル
3.災害時における薬剤師の役割(渡邉暁洋)
 A.薬剤師の支援活動の基本
 B.活動場所ごとの支援活動
 Column
 ・薬剤師の災害医療研修(涌嶋判之助)
4.災害時に求められる医薬品 -災害時処方箋の解析結果から-(名倉弘哲)
 A.災害時の医薬品の動向
 B.災害時の理想の医薬品管理
 C.熊本地震で使用された医療用医薬品


第2章 災害医療支援に関する基礎知識

1.災害医療の基本(井原則之)
 A.災害医療の原則 -CSCATTT-
 B.メディカル・マネージメント(医療管理)-CSCA-
 C.メディカル・サポート(医療支援)-TTT-  
 D.ファーマシューティカル・サポート(薬事支援)
2.災害時の医療救護体制 (A~E:山内英雄,F:柴田隼人,G:北川航平,H:江川 孝)  
 A.災害拠点病院
 B.広域災害救急医療情報システム:EMIS
 C.広域医療搬送
 D.災害派遣に関連した医療救護団体・組織
 E.災害派遣医療チーム:DMATとロジスティック業務
 F.DMAT活動の実際
 G.DPAT活動の実際
 H.国際緊急援助隊活動の実際
3.災害時の医薬品ニーズと供給体制(縄田幸裕)
 A.災害時の医薬品ニーズに影響を与える要因
 B.災害時の医薬品供給
 C.災害時の医薬品供給ルート
 D.備蓄医薬品とその活用
 E.Push型支援とPull型支援
 F.災害支援医薬品への対応
 G.医薬品卸の対応
4.災害時の関連法規・薬事関連措置と倫理(高木春佳)
 A.災害対策基本法
 B.災害救助法
 C.医療法
 D.医療品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(旧薬事法)
 E.災害時の麻薬の取り扱い
 F.災害時の医薬品代と健康保険
 G.災害時の薬剤師としての倫理と責務
5.災害時の情報収集・伝達(藤江直輝)
 A.災害時の情報収集・伝達の基本
 B.災害時の連絡ツール
 C.避難者・避難所情報の収集・伝達
6.災害医療におけるコミュニケーション(野呂瀬崇彦)
 A.被災者のストレスへの反応
 B.患者・避難者との関わり方の基本姿勢
 C.医療支援におけるコミュニケーションの実際


第3章 災害時の薬剤師業務の実践

1.平時の備え (木本国晴)
 A.災害時に備えておくべきこと
 B.災害時に備えた患者へのはたらきかけ
2.災害時の対応の基本 (丹野佳郎)
 A.災害への備え
 B.自らの施設が被災した場合の対応
3.薬局運営に関わる薬剤師業務 (小林祐司)
 A.調剤過誤を防ぐための医薬品の整理・配列
 B.医薬品の仕分け・在庫管理
 C.薬歴の管理方法
4.ファーマシューティカルトリアージ(安藤和佳子)
 A.薬剤師の行うトリアージとは
 B.薬を必要としている患者を対象としたトリアージ
 C.薬剤投与の判断,薬剤選択において考慮すべきポイント
 D.患者情報の収集(問診)のポイント
 E.フィジカルアセスメントの基本
 F.薬のトリアージ
5.調剤業務(丹野佳郎)
 A.災害時処方箋なしでの調剤
 B.薬局以外の場所での調剤
 C.災害時の調剤
6.災害時の薬事衛生管理(A~F:古田精一,G:丹野佳郎)
 A.感染症予防のための衛生管理における薬剤師の役割
 B.避難所アセスメント
 C.薬剤師が行うべき感染予防対策の指導
 D.消毒・滅菌に用いられる薬剤の代替法
 E.食品衛生
 F.一酸化炭素中毒予防のための衛生指導
 G.災害時の学校薬剤師の役割
 Column
 ・居住区域の衛生管理(名倉弘哲)
 ・避難所での食事配給(名倉弘哲)
7.災害時における粉塵とアレルギー疾患への対策 (難波弘行)
 A.被災地における粉塵の実際と粉塵対策
 B.アレルギー・気管支喘息の管理
 Column
 ・東日本大震災時の浮遊物質・堆積物調査(難波弘行)
8.モバイルファーマシーにおける薬剤師業務 (伊藤裕子)
 A.モバイルファーマシー開発の経緯
 B.モバイルファーマシーの仕様
 C.モバイルファーマシーの導入・運用
 D.モバイルファーマシーの活動の実際


第4章 災害時の薬学的管理の考え方

1.避難所での薬学的管理(A~E:大森眞樹/名倉弘哲,F:坂井美千子)
 A.お薬手帳の活用
 B.医薬品の鑑定と持参薬の活用
 C.災害時要配慮者への対応
 D.医薬品の使用に注意が必要な患者
 E.保存方法に注意が必要な薬
 F.在宅療養を受けている患者への対応
 Column
 ・避難所の状況(薬学的管理が必要なポイント)(松元享平/名倉弘哲)
 ・医療機器を使用している在宅患者の救急対応(浅野 直)
2.外傷治療薬,輸液製剤の薬学的管理 (佐藤栄一)
 A.重症外傷と出血性ショック
 B.災害初期の外傷患者に使用する輸液等の使い分けと薬学的注意点
 C.外傷時の抗菌薬の予防投与
 D.破傷風予防のための(追加)免疫療法
 E.広範囲熱傷の治療
 F.クラッシュ症候群の治療
3.循環器疾患患者の薬学的管理(A~E,G:坂田祐樹,F:名倉弘哲)
 A.災害時循環器疾患増悪の機序
 B.東日本大震災時の循環器疾患発症
 C.災害高血圧
 D.DCAP リスクスコア・予防スコア
 E.定期薬休薬の影響,手に入らない場合の対応,災害時注意すべきこと
 F.代替薬選択のポイント
 G.災害時に押さえておくべき服薬指導のポイント
4.災害時の糖尿病治療(名倉弘哲)
 A.災害時の糖尿病患者への対応
 B.薬物療法の原則
 C.低血糖対策
 D.シックデイ対策
 E.服用していた血糖降下薬がわからない患者さんへの対応
5.気管支喘息・COPD患者の薬学的管理 (佐々木順一)
 A.定期薬の休薬の影響
 B.定期薬がない場合の対応
 C.代替薬選択のポイント
 D.災害時に押さえておくべき服薬指導のポイント
6.抗てんかん薬の薬学的管理 (安藤和佳子)
 A.定期薬の休薬の影響
 B.定期薬を継続できない場合の対応
 C.代替薬選択のポイント
 D.災害時に押さえておくべき服薬指導のポイント
7.認知症患者の薬学的管理 (斉藤忠男)
 A.定期薬の休薬の影響と再開方法
 B.定期薬がない場合の他剤への切り替え方法
 C.避難生活におけるBPSDへの対応
 D.災害時に押さえておくべき服薬指導のポイント
8.向精神薬の薬学的管理
 ―抗不安薬・睡眠薬,抗うつ薬,抗精神病薬,気分安定薬,精神刺激薬?(今村弘樹)
 A.定期薬の休薬の影響
 B.定期薬がない場合の対応
 C.代替薬選択のポイント
 D.災害時のメチルフェニデート製剤の取り扱い
 E.災害時に押さえておくべき服薬指導のポイント
9.副腎皮質ステロイド薬の薬学的管理 (林 秀樹)
 A.定期薬の休薬の影響
 B.定期薬がない場合の対応
 C.代替薬選択のポイントと用量換算
 D.災害時に押さえておくべき服薬指導・薬学的管理のポイント
10.鎮痛薬・麻薬の薬学的管理 (和泉邦彦)
 A.災害時における麻薬使用の現状
 B.定期薬の休薬の影響
 C.定期薬がない場合の対応
 D.代替薬選択のポイント
 E.オピオイドが入手できない場合のNSAIDsの使用
 F.災害時の麻薬の薬局での管理
 Column
 ・災害時のオピオイド使用(村上雅彦)
11.OTC医薬品の活用(金田崇文)
 A.OTC医薬品の特徴と使用に関する留意点
 B.臨床判断・薬剤選択のポイント
 C.感冒・咳嗽
 D.消化管疾患(腹痛・便秘・下痢)
 E.打撲・外傷
 F.皮膚疾患
 G.眼疾患
 H.口腔疾患
 Column
 ・災害時の被災地における眼疾患への対応(名倉弘哲)
12.CBRNE災害と関連医薬品 (山内英雄)
 A.CBRNE災害とは
 B.Chemical(化学)
 C.Biological(生物)
 D.Radiological(放射性物質)/Nuclear(核)
 E.Explosive(爆発)
13.エコノミークラス症候群の対応 (大森眞樹/名倉弘哲)
 A.エコノミークラス症候群とは
 B.災害時のエコノミークラス症候群に対する薬剤師の役割
 Column
 ・感染症を回避するための環境整備(名倉弘哲)


文献

索引