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「薬局」2019年9月 Vol.70 No.10

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2019年9月 Vol.70 No.10
高血圧
地域包括ケアで薬立つ血圧管理の勘所

定価:2,160円(本体2,000円+税8%)

特集の目次

■特集にあたって(小原 拓)

■JSH2019の改訂点と日欧米高血圧診療ガイドラインの比較(辰巳 友佳子ほか)

■高血圧対応力を磨く10のClinical Question!
・家庭血圧の測定方法と測定条件:いつ,何回,どのように,いつまで測定するか(今井 潤)
・白衣高血圧は何が原因か.非医療環境下血圧が良好にコントロールされていれば特に気にしなくてよいか(宮川 政昭)
・血圧変動は何に影響するか.臨床的意義は何か(坂田 知久ほか)
・夜間血圧を測定する意義と測定によってわかることは何か(田原 康玄)
・薬局での血圧測定の意義は何か(小原 拓)
・血圧と合わせて測られる脈拍数にはどのような意味があるか(寳澤 篤)
・効果的に減塩するにはどのような方法がよいか(土橋 卓也)
・効果的に運動するにはどのような方法がよいか-高血圧を含む循環器疾患の予防のための効果的な運動方法について-(中田 由夫)
・高血圧では遺伝要因はどのくらい寄与するのか(勝谷 友宏)
・遺伝子検査に基づいて使用されることが望ましい降圧薬はあるか(神出 計)

■高血圧の薬学的管理Clinical Evidence Synopsis-先行研究から明らかとなった薬剤師による介入の有効性-(石黒 真美ほか)

■降圧薬で注意すべき副作用とそのチェックポイント(菊池 大輔ほか)

■特殊な高血圧におけるマネジメントの勘所
・肺高血圧症(平出 貴裕ほか)
・妊娠高血圧症候群(三戸 麻子)
・がん化学療法の副作用としての血圧上昇(土屋 雅美)

シリーズ

■薬剤師ふたばの症例検討奮闘記
症例検討会に向けた準備-①症例検討会って?
(上塚 朋子,矢野 良一)

■精神科における個別化医療を目指して
抗うつ薬
(猿渡 淳二)

■BMs-Podによる真の薬物投与設計 〜薬物動態解析の臨床への還元〜
BMs-Podの基本的な扱い方:ベイズ推定の活用方法〜非線形薬物動態を示すフェニトインの投与設計〜
(尾田 一貴)

■褥瘡コンサル虎の巻 〜褥瘡の発生要因を考える〜
疾患と褥瘡との関係は?-②疾患によって予測される褥瘡発生とその対応
偽痛風と褥瘡
(溝神 文博)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
CKD患者の胃酸抑制薬を最適化せよ!
(三星 知)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座 第6回
投資の王道! 株式投資の目の付けどころ
(桑原 秀徳)

■「治療」「薬局」合同連載 
症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ
なぜ,うっ血性心不全で浮腫むのか?ヒトは自分の体液量を正確に知ることができない!
(杉本 俊郎)

巻頭言

 近年の高血圧診療においては,多様な作用機序の降圧薬や配合薬の登場,非医療環境下血圧測定の普及などによって,高血圧患者の治療の選択肢や血圧情報が増加し,高血圧の管理状況は少しずつ良くなってきているともいわれている.その一方で,世界的にも類をみないスピードで進むわが国の高齢化による高血圧者数の増加により,今や日本人の3人に1人が高血圧の時代を迎え,日常業務において高血圧患者と接しない薬剤師はいないのではないだろうか.高齢化に対応するための地域包括ケアシステムの確立による医療環境の多様化に伴い,われわれ医療従事者の高血圧との関わり方も多様化している.薬剤師にとっては,特にかかりつけ薬局・薬剤師の制度化によって,高血圧患者における高血圧薬物治療の適正化のみならず,高血圧予備軍への生活習慣の是正に関する助言や血圧測定指導などの介入も期待されている.
 2019年4月に,5年ぶりに日本の高血圧治療ガイドラインが改訂され,日本高血圧学会『高血圧治療ガイドライン2019』(JSH2019)が発表されたことは,われわれ薬剤師にとってもしっかりとフォローすべき情報の一つである.海外の主要な高血圧治療ガイドラインの改訂においては,2015年に発表され注目を集めたSPRINT(Systolic Blood Pressure Intervention Trial)(N Engl J Med, 373: 2103-2116, 2015)の結果を受けて,高血圧の診断基準に関する議論が巻き起こった.その結果,米国高血圧学会などによる高血圧診療ガイドライン(Hypertension, 71 : e13-e115, 2018)では130/80mmHgを高血圧診断基準とすることとなったが,欧州心臓病学会/欧州高血圧学会による高血圧治療ガイドライン(Eur Heart J, 39 : 3021-3104, 2018)では従来通り140/90mmHgを踏襲することとなった.これらの議論・改訂を受けて,わが国の高血圧治療ガイドラインの改訂においても議論のポイントの一つとして注目が集まっていた.結果的にJSH2019においては,わが国独自の検討結果も踏まえて,140/90mmHgが高血圧診断基準として据え置かれたが,従来の「正常血圧」レベルの一部が「正常高値血圧」へ移行されたことや,一部の高血圧患者における降圧目標値が引き下げられるなどした.また,海外の主要なガイドラインと同様,非医療環境下の血圧測定の重要性が引き続き強調され,薬物治療の提案・管理だけでなく,外来患者の家庭血圧値や在宅患者の血圧値の評価や測定方法の把握,さらには高血圧予備軍に対する介入のタイミングを計ることなど,薬剤師の担うべき範囲が広がったとも言える.しかし,薬剤師による高血圧管理への介入に関するエビデンスは圧倒的に不足しており,本改訂においても薬剤師の役割が十分明記されているとは言えない.本特集では,薬剤師の介入効果に関する数少ない先行研究も取り上げ紹介している.
 このように,日々更新される最新のエビデンスに加え,診療の方向性を大きく左右しかねない診療ガイドラインの改訂などは,われわれ薬剤師にとっても重要な意義をもつ.そこで今回,JSH2019の発表を機に,高血圧にスポットをあて,高血圧に関する最新の情報について,わが国の最前線で活躍する先生方にご解説いただいた.今後ますます増加することが予想される高血圧者に対して,最新の情報に基づいて適切な対応ができるよう,ぜひ本特集を活用していただきたい.

小原 拓
東北大学大学院医学系研究科 環境遺伝医学総合研究センター 分子疫学分野/東北大学東北メディカル・メガバンク機構 予防医学・疫学部門/東北大学病院 薬剤部 准教授

次号予告

2019年10月 Vol.70 No.11
気管支喘息
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