最新号

「薬局」2020年4月 Vol.71 No.5

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2020年4月 Vol.71 No.5
歯科領域の薬物療法
薬を使いこなす“知識”と“ノウハウ”

定価:2,200円(本体2,000円+税10%)

特集の目次

■特集にあたって(金子 明寛)

■全身疾患と顎口腔病変との関連性(片倉 朗)

■歯科領域の感染症における予防・治療薬の考え方・使い方
・歯科外来における抗菌薬処方の実態(石金 正裕)
・歯性感染症の細菌学と抗菌薬療法(金子 明寛)
・歯科領域における周術期抗菌薬投与の原則と課題(古土井 春吾)
・口腔細菌が誤嚥性肺炎をはじめとする呼吸器疾患へ及ぼす影響と口腔ケアの重要性(神尾 宜昌ほか)
・口腔カンジダ症の予防・治療戦略(上川 善昭)

■口腔顔面痛に対する疼痛制御の基礎と実践
・口腔顔面痛の疾患概念・分類および診療の進め方(和嶋 浩一)
・口腔顔面痛の発生機序に基づいた薬物療法の実践(岡田 明子)

■口腔機能低下症/障害マネジメントの勘所
・加齢に伴う口腔機能の変化と“気づき”のポイント(山崎 裕)
・口腔機能低下症/障害に対する薬物療法・口腔ケアの実践ポイント(山本 健)
・口腔機能低下症/障害における治療薬管理と服薬支援(岩尾 一生)

■歯科領域の周術期における治療薬管理(栗田 浩)

■歯科領域の漢方薬活用術-歯・口腔疾患に対する有効な漢方薬(選択方法・投与期間・副作用)―(王 宝禮)

■歯科病変を引き起こす薬物有害反応とその対応
・薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎(上田 美帆ほか)
・抗がん薬による口腔粘膜炎(百合草 健圭志)
・薬剤性歯肉増殖症(梅田 誠ほか)

シリーズ

■褥瘡コンサル虎の巻 〜褥瘡の発生要因を考える〜 最終回
疾患と褥瘡との関係は?-⑧
疾患によって予測される褥瘡発生とその対応
腰部脊柱管狭窄症と褥瘡
(溝神 文博)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
尿毒症物質と球形吸着炭のエビデンスを整理して,
薬物療法の可能性を再考しよう!
(吉田 拓弥)

■医療マンダラ 〜思考と感性のセンスを磨く〜
「プラセボジレンマ」を乗り越える工夫
〜ランダム化比較試験(RCT)においてコントロールとして
プラセボ単独使用群を設定する際の倫理的ハードル〜
(中野 重行)

■薬剤師ふたばの症例検討奮闘記
症例検討会に向けた準備-⑦
プレゼンテーションの準備を通じて振り返る
(矢野 良一 上塚 朋子)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座 第⑫回
年代別,こんな投資ポートフォリオがいいんじゃない?
(桑原 秀徳)

■「治療」「薬局」合同連載 
症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ
体液過剰を呈する高齢うっ血性心不全患者の
入院(再入院)が繰り返される現状なんとかならないのか?
病院退院前・病院外来でやるべきこと,できること
(杉本 俊郎)

巻頭言

 わが国の歯科医師数は約10万人で医師の1/3である.歯科では約90%が診療所で勤務している.厚生労働省の2018年(平成30年)社会医療診療行為別統計の概況によると,無床歯科診療所の総数は61,240軒で,医科の施設数(病院,診療所総数)88,988軒の68.8%である.歯科診療報酬明細書件数は1ヵ月あたり18,002,119件で,医科(病院,診療所総数)の明細書件数85,727,192件の約20%である.歯科で処方箋料を算定している明細書は1ヵ月あたり0.7%なので12万件前後となる.投薬点数は一般医療16.0点,後期医療は1件あたりの投薬点数は16.6点であるので,歯科処方を目にされない保険薬局も存在する可能性もある.また,歯科で処方する薬剤として併用禁忌が多い薬剤はクラリスロマイシンおよびアゾール系抗真菌薬(歯科適応はミコナゾールゲル,口腔粘膜付着型ミコナゾールおよびイトリゾールカプセル,内用液)である.歯科で多くみられるβ-ラクタム薬,NSAIDsの処方では併用禁忌が少ないので歯科への疑義照会も少ないと思われる.
 薬剤耐性(AMR)対策としては,歯科処方は第三世代経口セフェム系薬の処方の比率が多い点が挙げられる.歯科の起炎菌の多くは口腔レンサ球菌および嫌気性菌であり,第三世代経口セフェム系薬のようにグラム陰性菌まで広範囲にカバーする必要はない.歯科においても従来は第一世代セフェム系薬が処方の主流であり,1977年頃はセファレキシンの処方数が75%を占めていた.セファレキシンからセファクロルへ時代とともに処方比率は移行した.医科も含め2000年頃はセファクロルの処方が多く,その当時(第三世代の経口セフェムの臨床試験の頃)のセファレキシンの口腔レンサ球菌に対するMIC50は12.5µg/mL,MIC90は100µg/mL以上,セファクロルの口腔レンサ球菌に対するMIC50は3.13µg/mL,MIC90は100µg/mLであった.セファレキシン,セファクロルの歯科における臨床効果の低下とともに処方数は減数し,ペニシリン系薬の処方は増加せずに,第三世代経口セフェム系薬の処方が増加した.日本化学療法学会・日本感染症学会の感染症治療ガイドでは,アモキシシリン,アモキシシリン/クラブラン酸を第一選択薬として推奨し,ペニシリン代替薬として第一世代セフェム系薬を推奨している.
 保険薬局などにおいて,「あの歯科医院いつも同じ処方だけ.何回も同じ薬出して大丈夫かしら?」「顔が腫れているけれど,昨日セフェム系薬を処方し,今日はマクロライド系薬の処方?」と疑義ではないが,疑問の処方と感じることもあると思われる.
 本特集では,歯科における処方薬および歯科と関連するビスホスホネート薬による顎骨壊死なども概説している.本特集により歯科と薬剤師との連携が強化され,患者さんの安全,安心な医療につながることを願っている.

金子 明寛
東海大学医学部 外科学系口腔外科学 教授

次号予告

2020年5月 Vol.71 No.6
表在性皮膚真菌症
― 治療薬を活用するための基礎と実践総まとめ ―