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「薬局」2019年12月 Vol.70 No.13

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2019年12月 Vol.70 No.13
救急・集中治療
−重症患者に対する薬学的支援の実践ポイント−

定価:2,200円(本体2,000円+税10%)

特集の目次

■特集にあたって(柴田 啓智)

■薬剤師が押さえておきたい救急・集中治療のエッセンス
・救急・集中治療領域で求められる薬剤師の役割・行動(入江 利行)
・初療室で活かす薬剤師の視点(齋藤 靖弘)
・救急・集中治療における医薬品安全管理(野﨑 歩)
・薬物動態学的変化を考慮した重症患者における薬物投与設計の留意点(中薗 健一)
・急性期から維持期までのシームレスな薬物療法を実践するための治療薬管理(甲斐 光 ほか)
・小児救急・集中治療領域の特徴と薬剤師の関わり(大穂 祐介)

■各種病態における診療の流れと薬学的管理の実践ポイント
・心不全・急性心筋梗塞・致死性不整脈(原 直己)
・脳卒中(宮田 祐一)
・急性薬物中毒(鈴木 善樹)
・感染症(片岡 優)
・意識-集中治療後症候群(PICS)予防と心肺停止後症候群(PCAS)管理の観点から-(吉廣 尚大)
・急性腎不全・急性腎障害(古賀 香織ほか)
・急性代謝失調 -糖尿病性ケトアシドーシス・高浸透圧高血糖状態-(加藤 隆寛)
・電解質異常(岩渕 聡 ほか

■救急・集中治療領域における薬剤師教育
・救急ファーマシューティカルラリー -救急医療に貢献できる薬剤師の養成を近畿から目指す-(松井 俊典)
・JSEPTIC薬剤師部会 -グローバルスタンダードな薬物治療の提供へ-(前田 幹広)
・Off the job training course -BLS,ACLS,ICLS,FCCS-(山本 麻里子)

シリーズ

■薬剤師ふたばの症例検討奮闘記
症例検討会に向けた準備-④
患者情報を整理してまとめる
(上塚 朋子,矢野 良一)

■精神科における個別化医療を目指して
臨床家からの視点
(古郡 規雄,下田 和孝)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
合理的薬物治療を求めて~育薬における「臨床薬物動態学」をめぐる思い出から~
(中野 重行)

■BMs-Podによる真の薬物投与設計 ~薬物動態解析の臨床への還元~
BMs-Podの基本的な扱い方:Sawchuk-Zaske法の活用方法
~アルベカシンの投与設計~
(尾田 一貴)

■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
疾患と褥瘡との関係は?-⑤
疾患によって予測される褥瘡発生とその対応
老年症候群(廃用症候群)と褥瘡
(溝神 文博)

■薬剤師が三ツ星シェフ 〜業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ〜
“とある一例”が教えてくれる大事なこと―Common sense based nutrition―
(東 敬一朗)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座 第❾回
不動産投資って儲かるの?(後編)
(桑原 秀徳)

■「治療」「薬局」合同連載 
症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ
うっ血性心不全とループ利尿薬 だんだん利尿が得られなくなってきた
―ブレーキ現象と利尿薬抵抗性―
(杉本 俊郎)

巻頭言

−非日常に正解ではなく答えを出していく日常−

 生きていることは日常だろうか.患者にとって,生きていけないことは非日常の最たるものだろう.いや,患者にとって,という表現は正確ではないかもしれない.非日常の直前まで患者ではないこともありうるのだから.患者になるという非日常は,程度の違いはあれど当人にとっては一大事で,高熱,むくみ,ぼーっとする,尿が出ない,経験したことのない痛み,うまく話せない,今をうまく認識できない,死にたいと思う,心臓が止まる,すべて疑いようもない非日常である.そして,訪れる非日常は残酷なほど平等で,時間と場所とイベントを選ばない.大人かもしれない.子供かもしれない.不特定多数かもしれないし,あなたの大切な人なのかもしれないのである.
 薬剤師として,患者の非日常に遭遇する機会は必ず存在する.救急・集中治療領域で働くということは,それがすべてではないにしろ,その頻度と程度が高いということなのだろう.いつ訪れるかもわからない患者の非日常に対して薬剤師の支えになることは,せめてその瞬間を想定内で迎えたいということかもしれない.患者が,あるいは家族が望む形を提案そして実現し,寄り添うことができたなら,少なからず共有する不安に立ち向かえるかもしれない.また次の患者に向き合えるかもしれない.
 この特集では薬剤師として,チーム医療の一員として,患者の非日常に遭遇した時に対応するための手がかりが散りばめられている.分布容積や薬剤のクリアランスに関する基本的な考え方などは薬剤師の基本スキルであると信じ,その先に拡がる概念について触れている.また,この領域は想定内を得るためのすばらしい研修会が全国で展開されており,その概要についても紹介している.ぜひとも参考にしていただきたい.
 われわれが医療の中で紡ぎ出すのは必ずしも正解ではないかもしれない.正解がみえないことだって多い.しかし,答えを出さなければならないのである.今回の特集では,救急・集中治療にまつわる非日常に遭遇した患者へ,答えを出すことに日常を置いた珠玉の薬剤師が書き下ろしてくれている.この場を借りて心より感謝の意を表したい.
 すべての薬剤師へ,自信を持ってお勧めする.

柴田 啓智
済生会熊本病院 薬剤部 薬剤管理指導室長代行